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かなり前から語られていた「己を知る大切さ」

昼休み、何気なくネットをめぐっていたら、銀行系シンクタンクのサイトで、かつて母校で教鞭をとられていた中谷巌氏が執筆された文章を見つけた。

藤原正彦氏の「国家の品格」をきっかけに、日本について語ったり論じたりする書物が増えているし、仲間内の書き込みでもそのての内容を時々見かける。

今回見かけた中谷氏の文章も、日本文化について語ったもの。こんな内容が綴られていた。

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日本人はなぜアイデンティティを失わないのか。 その理由は、自国のしっかりとした「基層文化」の存在ゆえである。

日本人の場合、この基層文化は三層ある。
1.明治維新以来培われた「産業文化」 近代的な合理主義に基いた発想
2.稲作農耕文化によて形成された意識
3.縄文時代に気付かれた狩猟採集文化に金する意識

このうち3の影響が特に大きい。なぜなら、多くの国ではせいぜい1000~3000年しか
経験していないこの時代を、日本は1万年経験したからである。

農耕文化・・・自然は人間が支配するもの
縄文文化・・・人間と自然が共生する

日本人が四季の移り変わりをこよなく愛し、花鳥風月を愛でるのはこの長きにわたる縄文文化の感性のせいかもしれない。

正月やお盆、お彼岸などの折に、「あの世」から客人としての神が一時的に「この世」に里帰りするものとされている。
また、正月には山から来る彼らが滞在しやすいよう、門松やしめ縄を飾ってお迎えする。そしてしばらくすると客人である神は山に帰っていく。

というようにこの世とあの世は密接な連絡がある。

日本人にとっての神は、普遍的、超越的な存在ではなく、身近にいて、時々帰ってくる存在。
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中谷氏は、別の機構で、英語が堪能な日本人が増える一方、日本のことを知らない日本人が増えていることを指摘している。

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浪人していた頃、和文英訳を個別に添削してもらうなど大変お世話になった講師がいる。この方は、大学卒業後、アメリカに渡って教鞭をとられた経験を持っておられる。

この講師も、折に触れて「あなた方は、もっと自分の国のことを知り、外国人に聞かれた際にきちんと説明できるようにしたほうがいいよ」と言っておられた。

藤原正彦氏の何冊かの本、そして、偶然見つけた中谷氏の寄稿。これらを見るたびに、17年前の予備校講師のことを思い出すのであった。