METライブビューイング「テンペスト」(トーマス・アデス)

世界各国の映画館で12作が上演される今シーズンのメトロポリタンオペラ。

その3作目となる「テンペスト」を観に行ってきた。

シェイクスピア作品に基づき、若手作曲家のトーマス・アデスが作り、2004年に初演を迎えたこのオペラ。アデスは1971年生まれ(同世代!!)だから30代前半にして作り上げたことになる。その作った、という事実だけでも素晴らしいが、それがこうしてMETで上演されるのだから更に素晴らしいことである。

作品そのものの紹介は、私が書くよりはこちらのサイトをご覧いただいた方が参考になると思うので省略する。

オペラを観た(聴いた)機会は少ないのだが、一幕目が始まったところで「いわゆる名作オペラと呼ばれるものとは一線を画するな」と感じた。アリアの中での調の変わり方や、歌手に歌わせる音域など、「え、何これ!?」と思う場面がいくつも見られた。それをしっかり歌いきる出演者も見事。さすがMETの舞台に立てる方々である。

どの歌手も素晴らしかったが、一番度肝を抜かれたのは、圧巻だったのは、妖精アリエル役を演じたソプラノのオードリー・ルーナ。とにかく音域が高い。常にト音記号の五線の上を超えている。しかも、ヴォーカリーズではなく、ちゃんと歌詞が付されており、若干聴きとりづらかったがそれをきちんと歌おうとしているのだ。
役の設定上ベタに立つことはなく、場面によっては黒子の助演たちに支えられて宙を浮きながら横になって歌っている、という点でも「おぉー!」と心の中で歓声を上げながら聴いていた。


仕事や練習との兼ね合いもあり、今後どれだけ観られるかはわからないが、一流の歌手が歌ういい作品は、できるだけ逃さずに観ていきたい。帰り道、ハンドルを握って山陽道を走りながら、その思いを新たにした。
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by h-katopon | 2012-12-09 16:24 | 音楽