目指すのはあの瞬間

趣味でやっていることとはいえ、やはり舞台に立って歌うからには、聴き手も、歌い手も幸せな気分になる瞬間を追い求めたい。

最近、歌い終わった後は「無事に終わったことを喜びたい」、という思いになることばかりだが、「感動した」と思える瞬間が、過去に一度だけあった。

1994年10月9日 ゆうぽうと簡易保険ホールでのAround Singersの演奏会。
その第2ステージで歌った「水のいのち」の終盤でそれは訪れた。

通常は、第5曲「海よ」で、天に上って終わるのだが、このときの指揮者 畑中良輔氏は、作曲者の承諾を得て、5曲目まで歌い上げたあと、第1曲「雨」を静かに歌い上げて終わる、という演奏をしていた。

その、sempre pp で歌いだした「雨」の中で、一瞬客席が見えなくなり、何もない空間に一人漂いながら歌う自分がいた(もちろん周りの声は聞こえていたが)。

歌い終わり、しばしの静寂の後の割れるような拍手で、ステージという現実の空間に戻った。
後から録音を聴けば色々と反省する点は出てくるのだが、歌っていたあの時間は、幸せなひと時だった。

今、歌っている場所で、同じような瞬間を味わいたい。その思いを忘れずに、引き続き歌っていこう。
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by h-katopon | 2012-03-18 22:16 | 音楽