あれから20年(その2)

あの時、ブラウン管に移されたあの映像は、この世の出来事とは思えなかった。

1度目の大学受験に失敗し、悔しさをかみしめながら予備校へ通っていたあの時、仲間もでき、時には政治や国際情勢に関する話題で盛り上がりながら、それぞれの目標に向け刺激し合っていた。

ちょうどそのころ、自分たちより少し上の世代の若者たちが、海の向こうで民主化を求めて集結していた。連日のようにテレビに映し出される学生たちは、蓄積されてきた怒りや不満を一気に爆発させんというエネルギーに満ちているように見えた。夜、歌いながら涙を流している者の姿が、今でも瞼に焼き付いている。

20年前の6月4日、そんな彼らを武力で鎮圧すべく、天安門の群衆の中に装甲車が飛び込んできた。

予備校へ行こうと支度している手が止まり、しばらくその場を動くことができなかった。


自分自身にとって忘れられない一年だったせいもあるだろうが、1989年の出来事には、今でも記憶に残ることが多い。年始めの昭和天皇崩御に始まり、この天安門事件(76年に起こったものと区別するため六四天安門事件と呼ぶらしい)、大スター美空ひばりの死去、ベルリンの壁崩壊・・・。

私自身は次のステージに上がれずにもがいているところだったが、周りは、一つの時代が終わり、新たなステージへ向けて動き始めていた。そんな時だったのだろう。
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