「いつまでも歌を」

13年前、「アラウンドシンガーズ」の一員として、アメリカへの演奏旅行へ行った。

NYのカーネギーホール、そして、ボストンシンフォニーホール。なかなか歌える機会のない2つのホールで、満員ではなかったがアンコールまで歌い終えた我々を、スタンディングオベージョンで見送ってくださったお客様。思えば、大学時代の最後の定期演奏会でも涙を流さなかった私が、歌い終わって目頭が熱くなった最初の機会が、まさにこの時であった。

このとき、タクトを振ってくださったのが、既に天国へと旅立たれた北村協一先生と、90歳が近付こうとしているのに未だご健在の畑中良輔先生である。

ボストンでの演奏会の後、レセプションでお二人からサインを頂戴した。

北村先生からは、「ここに来れて良かったね」の一言が添えられていた。

そして、畑中先生が添えてくださったのが、表題の「いつまでも歌を」である。

当時のアラウンドシンガーズは、企画の度に集まり、それが終われば解散する、という不定期の合唱団。それ以外に活動拠点を持っていなかった私にとって、「やはりどこかで歌い続けていこう」と思うきっかけの一つに、この畑中先生からの一言がある。

アラウンドでの出会いをきっかけに、歌に関しては本当に恵まれた環境に身を置くことができた。今では距離が離れてしまった方々もいるが、歌を通して関わり合うことのできたすべての方々に、本当に感謝している。

そして、「いつまでも歌を」の言葉を下さった畑中先生は、2月12日に87歳のお誕生日を迎えられた。ほんのわずかの瞬間だが、同じステージに立てた者として、「おめでとうございます、そして、あの頃頂いたお言葉を今でも大事にしています」と伝えたい。
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by h-katopon | 2009-02-13 22:05 | 音楽